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世界の年金ランキング、各国の受給年齢と定年年齢について

2019年6月、金融庁の公表した報告書で‟老後資金2000万円問題”として、年金問題がメディア等で大きく取り上げられたことはまだ記憶に新しいところです。
果たして日本の年金支給が世界の中でどの程度の水準にあるのか、今回は年金指数のランキングです。

 

高齢者と紙幣

 

年金指数ランキング 

年金指数の評価の内容は以下の通りです。
①十分性 ②継続性 ③健全性の観点から40項目で評価を実施。
対象は公的・私的年金制度の積立や個人貯蓄などの年金資産など。

(ランク:国名:指数)

A  :オランダ    80.3 
(十分性75.9、持続性35%、健全性25%)
A  :デンマーク   80.2
B  :フィンランド  74.5
B  :オーストラリア 72.6
B  :シンガポール  70.4
B  :ドイツ     66.8
C+:イギリス    62.5
C+:フランス    60.7
C  :アメリカ     58.8
C  :インドネシア   53.1
D  :日本       48.2 
(十分性54.1、持続性32.4、健全性60.7)
D  :韓国       47.3
D  :中国       46.2
D  :インド      44.6

<34か国 平均>         60.5   
  (十分性61.1、持続性52.0、健全性71.6)

(出典:マーサー「グローバル年金指数ランキング2018年度」)

 

日本の年金指数はDランク 

以上の結果となりますが、アジア勢は軒並み低い評価となっており、日本もDランクとされていて、総合指数では最も低いランクとなっております。
特に持続性が非常に低い評価となっていて、将来にわたって制度が維持できるのか危惧されているところです。
プラス要素としては、総合指数の数値そのものは前年よりアップして過去最高値となったところです。

もう一つ重要な、年金受給の開始年齢について、日本では引き上げが検討されておりますが、世界の状況はどうなっているかも見ていきたいと思います。

以下各国の状況をご紹介いたします。

 

年金受給開始年齢の引き上げ状況

日本            :65歳   →(検討中)

アメリカ          :66歳   →67歳(2027年)

ドイツ              :65歳3か月 →67歳(2029年)

韓国                  :61歳    →65歳(2033年)

オーストラリア:65歳    →67歳(2023年)

オランダ           :65歳2か月→67歳(2023年)

スペイン           :65歳2か月→67歳(2027年)

アイルランド    :66歳         →68歳(2028年)

 

各国とも受給開始は67歳以上に引き上げ

このようにみますと日本における受給開始年齢引き上げも各国の状況比較からすでに既定路線のように見えてきます。
問題は何歳まで引き上げられるかというところでしょうか。

日本と他の先進諸国とでは何が異なるのかを考えてみましょう。まず違うのは年金支給条件としての加入期間があります。

日本の場合は25年間の支払い義務があるのに対して、
アメリカ・イギリス・カナダ10年間
ドイツ5年間
フランス無し
となっており、日本も最近見直す方向で検討されております。

 

北欧諸国は高い消費税でカバー

また北欧諸国においては高い消費税率によって年金制度も支えられれているために、基本的には支給率も高い水準にあります。

例えばノルウェーでは単身者100%、配偶者がいる世帯では185%受け取ることができます。またスウェーデン、デンマークも年金基本額として高い水準が設定されております。

一方フィンランドではこれまでの給与所得の60~66%の支給と日本とはさほど変わらないものの、高齢になるにつれて支出の多くを占める医療費が無償化されるため、将来への心配が少なくて済むという側面もあります。

日本も今回消費税率が10%に引き上げられましたが、消費税をさらに高くして社会保障への将来不安を解消させるのか、消費税率が現状維持であれば今後どのように増加していく社会保障費をカバーしていくのか、非常に難しい課題となっていくと思われます。

  

定年年齢の引き上げを検討

一方、年金と非常に密接に関係しているのが定年の年齢です。現在日本政府は国家公務員の定年の引き上げを検討しています。現在の60歳から段階的に65歳まで延長する方針を示しています。

政府は社会保障制度改革の一環として「生涯現役社会」を掲げています。高齢でも意欲があれば働ける社会にするために、まずは国家公務員の定年を延長し、民間にも広げる狙いです。

各国の国家公務員の定年を以下にお示しします。

 

各国の国家公務員の定年年齢

アメリカ:無し
イギリス:無し
カナダ :無し
ドイツ :2021年~31年に65歳から67歳へ
フランス:2016年~22年に65歳から67歳へ
日本  :60歳(65歳への引き上げ検討中)

 

そもそも定年制を廃止している国も多い 

アメリカイギリスカナダなどのように英語圏の国家公務員では定年そのものを廃止している状況です。
アメリカでは年齢差別禁止法(1967年成立)で、雇用の場での年齢による差別を禁止しています。
上記以外にもオーストラリアニュージーランドでも定年制度は廃止されております。

日本の民間企業におきましても、高年齢者雇用安定法の一部が改正され、2013年4月から施行されています。
この改正により、希望すれば65歳まで働けるようになりました。
→(全企業への適応は2025年から

高年齢者の安定的な雇用確保のために、同法律で企業は以下のいずれかの制度を導入するように求めています。

1)定年制の廃止
2)定年の引き上げ
3)継続雇用制度(再雇用など)の導入

 

継続雇用が義務付けられる時期と年齢

2019年4月~  63歳

2022年4月~  64歳

2025年4月~  65歳

 

以上のように2025年には継続雇用制度による「65歳定年」の形が整うことになります。
もっとも、多くの企業が導入している継続雇用制度は、必ずしも同じ仕事を同じ条件で継続できるとは限らないという点は注意すべきです。
そのまま正社員として継続雇用されることは少なく、嘱託・契約社員・パートなどどとして継続雇用されているのが実態です。

尚、政府は2019年12月にまとめた社会保障制度改革の中間報告において、希望者には70歳まで就業機会を確保するよう企業に努力義務を課すとしました。

 

 

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