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世界のエネルギー消費量ランキング~中国の再生エネルギー大国化~

 はじめに

我々の生活にとって必要不可欠なエネルギーは非常に多面的な問題を抱えています。環境面や経済性に加えて、安全性に安定供給、自給率などそれぞれどのようにバランスをとっていくかは大変難しい問題のようです。
今回はそんなエネルギー事情についてご紹介していきます。

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風力発電

 

世界で再生可能エネルギーへのシフトが進む

世界のエネルギー供給は再生可能エネルギーへのシフトが鮮明になっています。

2018年に新たに設置された全発電設備容量の3分の2近くが再生可能エネルギー世界全域で再生エネが成長している状況となっています。

それを世界で最もけん引している国が中国で、国内の巨大市場を背景に、この分野での覇権を握ろうとしています。

今後、化石燃料の衰退が進むことになれば中国が世界のエネルギーを制覇する可能性もあります。

  

エネルギー消費量の多い国Top12

 (順位:国・地域  エネルギー消費(t) 燃料タイプ別消費構成上位順)

1位:中国    32億7347万   

①石炭58.5②原油19.3③天然ガ7.5④水力8.3⑤再エネ4.4  

 2位:アメリカ  23億64万  

①原油39.3②天然ガ30.9③石炭13.9④原子力8.5⑤再エネ4.6

 3位:インド    8億915万  

①石炭56.1②原油29.3③天然ガ6.2④水力3.9⑤再エネ3.4

 4位:ロシア    7億2075万 

①天然ガ54.7②原油20.5③石炭12.3④原子力6.5⑤水力6.0

 5位:日本      4億5414万 

①原油39.2②石炭26.3③天然ガス22.2④再エネ5.7⑤水力4.1

 6位:カナダ   3億4442万 

①原油43.8②水力36.5③原子力9.4④石炭6.0⑤再エネ4.3

 7位:ドイツ   3億2389万 

①原油34.1②天然ガ23.7③石炭20.8④再エネ14.8⑤原子力5.4

 8位:韓国    3億102万   

①原油41.5②石炭30.0③天然ガ16.3④原子力10.3⑤再エネ1.7

 9位:ブラジル  2億9760万  

①原油46.6②水力29.0③天然ガ10.2④再エネ7.8⑤石炭5.3

10位:イラン    2億8572万  

①天然ガ68.9②原油29.2③水力0.9④原子力0.6⑤石炭0.5

11位:サウジアラビア 2億5919万  

①原油61.8②天然ガ38.2③再エネ0.01

12位:フランス  2億4260万  

①原子力38.9②原油31.8③天然ガ15.3④水力6.1⑤再エネ4.4

(出典:BP Statistical Review of World Enegy June 2019)

 

中国は再生可能エネルギー大国へ 

ランキングをみますと、エネルギー消費量の高い国がCO2の排出量も高い状況です。1位の中国については現時点ではまだ石炭の割合が58.5%最も高い状況ですが、国際再生エネルギー機構によれば、中国国内の太陽光発電の容量は2018年までの10年間で700倍近くにまで急拡大しています。また風力発電も約22倍に拡大していて、世界の再生可能エネルギー全体の3割を占めるまでになっています。

発電のみならず、再生エネルギーの設備の開発・生産でも世界をリードしていて、特に太陽光発電モジュールの生産では世界の6割を占めるに至っています。販売シェアでも上位10社のうち実に8社が中国企業となっており、太陽光発電はほぼ中国に制圧されているといっても過言ではありません。

アメリカも再生可能エネルギー割合の拡大へ

 2位のアメリカも再生可能エネルギーの割合を増やしています。2019年4月には、再生可能エネルギーによる発電量が、月間で初めて石炭火力による発電量を上回りました。

アメリカも14年までは石炭火力が最も大きな発電原でしたが、その後は急速に比率を落としており、天然ガスと再生可能エネルギーが割合を伸ばしております。

日本の再生エネルギー産業は出遅れ

 日本においては政府が再生エネルギーを成長分野に位置づけてはおりますが、日本の再生エネルギー産業は規模拡大で出遅れ、中国や欧米の企業に大きく水をあけられています。

太陽光・風力ともに国内メーカーの生産額はここ数年で急減し、撤退も相次いでいる状況です。またエネルギーの自給率が他国に比べて極端に少ないのも大きな課題です。

 

各国のエネルギー自給率状況

ロシア :188.0%
カナダ :174.4%
ブラジル:  93.8%
アメリカ:  92.2%
中国  :  83.9%
イギリス:  65.8%
インド :  65.1%
フランス:  55.9%
ドイツ :  38.8%
韓国  :  18.9%
日本  :   7.0%

(出典:IEA「Indicators for 2015」)

 

日本は再生可能エネルギーの推進がカギに

日本は世界第4位のエネルギー消費大国でありながらエネルギー自給率はわずかに7%という極めてアンバランスな状況です。

東日本大震災前年の2010年には19.9%あったのですが、震災後に原子力発電所が長期停止となり、その結果、火力発電による発電量が大幅に増加いたしました。

火力発電の増加はエネルギー自給率の低下という側面以外にも、CO2排出量増加という問題にもつながっており、やはり再生可能エネルギーをより一層推し進める施策を打ち出していくしかない状況です。

政府の施策としては、太陽光や風力などの再生可能エネルギーによる電力を地域を越えて融通する送電線の整備を進めています。

これは発電設備の適地の多い北海道や東北などから、首都圏や京阪神などの消費地へ電力を十分に送れるようにするもので、全国の電力大手10社が工事費を分担し、電力会社の供給地域をまたぐ「連係線」増設するものです。今後の展開が大いに期待されます。

 

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